北村道子 衣装術

先日、プーしゃんからラインが。

メパロンに読んで欲しい本があるのって。

f:id:ritsuko0627:20160831185515j:image

北村道子さんの衣装術”

を貸してもらい、読みました。

 

学生時代や高校生の頃は、よくファッション雑誌VOGUEやファッションニュースを読みまくっていた。

また、ファッションデザイナーのトークショーや東京ファッションウィークの新作コレクションのショーを観に行ったり、”ファッション”が全てだった16〜20歳までの自分の気持ちを蘇されたような気持ちになった。

今ももちろん仕事がファッション関係だから一生ファッションなんだけど、今はファッションに対しての熱の入れ方が昔と変わってきている。

前もツイキャスか何かで話したかもしれないけれど、わたしの人生の岐路は学生時代、男の子に、「○○○ちゃんはさ、消費者のままでいいの?俺は生産者になりたいからヨウジヤマモトの服を買いたいけど、試着して学んで我慢してる。悔しいから。」って言われたこと。

 

わたしは18.19の頃の当時、keisuke kandaの大ファンだった。高校生の時は友達もいなくて服が友達のようで、支えてくれる大きな存在だった。そして唯一ファッションで繋がっていた友達に初めてkeisuke kandaの展示会に連れていってもらった。

そしたら恋をしてしまった。服に。

服でこんなにドキドキしたことなんか無いってくらいドキドキする仕掛けがこのペラペラの布で表現されていて、なんだか上手く言葉にできなかった。

映画や小説を読みきったあとのような気持ちになって、高校生の当時はアルバイトを週1程度で働いていたのであまりお金もないなか、3万円のブラウスを受注した。来年東京に上京するから、入学式(喝をいれる時)に着ると決めた。

 

でも恋は盲目で、”keisuke kandaの服”であればなんでも魅力的に感じてしまって、(あのときめき・ドキドキした気持ちを忘れられなくて)買い漁る年だった。

 

そんなときに先ほど話した男の子にあんな一言を言われて、胸が苦しかった。わたしは”着る側”じゃないんだ。”作る側”つまり生産者になるためにこの学校に入ったんだって思って、展示会に行ったけどはじめて見るだけで帰って、受注しなかったお金で7万円の職業用ミシンを買った。

今もずっと愛用している仕事の相棒。

これがないとわたしの服は作れない。

 

それから、着ることへのエネルギーよりも作る、表現するエネルギーに注ぐようになり、今もそりゃあお洒落したいし買いたいけど、やっぱり生産者ということの自覚と闘いながら今も仕事をしている。

 

本を読んで北村道子さんのように映画や役者さんのイメージを聞いて服を作ったことはないけれど、わたし自身衣装にとても興味がある。

どちらかと言えばUNIQLOのようにシンプルで日常に適している衣服を作ることはあまり得意ではない。

”見た目”や”世界観”重視なのできゃりーぱみゅぱみゅさんや小松菜奈ちゃんに着用してもらえたのかもしれない。

あと、誰かに着てもらうことではじめて服として成立するから、もっといろんな人に着てほしい。

そのためには私が縫わなくちゃいけない。今は全てひとりで生産しているから工場に負けちゃう。でも、わたしは小学生から”手作り”ということに拘り続けているし、執着している。

手作りって、服じゃなくて料理も、あたたかさがあるよね。その人が作ってくれた、という行為が堪らなく好きで。

お客さんは私のことはどうでも良く思っているひとや興味のないひともいるけれど、展示会に花束を持ってきてくれる女の子もいる。涙を流してショーを見てくれた女の子もいる。これからも頑張ってくださいって言ってくれる女の子もいる。

だから、私はこの手作りという方法に拘っていきたいし、これがなくなったら私が私じゃなくなる気がして、嫌だし怖い。

工場だけで生産するなら、何か意味がないような気もして。そりゃ工場生産のほうがスピードも早く縫製も綺麗。だけど布と布との組み合わせをギリギリまで選んだり、手作業で縫いつけるビーズだったり、わたしのやりたいことは多分工場には適していない。

だからもう少し効率よく製作できたらいいな、、と思うところだけど、私の手・魂から産まれたもの、がどこかの誰かさんの元に届いて何か必要とされたり、私がkeisuke kandaに恋したようにドキドキしてくれたら、わたしはいつ死んでもいいかなっておもうくらい幸せだし、財産。

映画のように映像は残らないし、知らないひとは知らないけれど、わたしの手から産まれるものは私の人生の分身、欠片だから少しでもこの世に残っていたら嬉しい。

 

あとは、北村道子さんがお金だけで仕事を選ばない、と書いてあったけれど私もそうかな。

この前某アイドルの衣装製作依頼があって○○十万円のギャラだったけど、どうしてもやりたい!という気持ちがなかったから断った。し、スケジュールが合わなかった。生半可な気持ちもだめな気がして。

やっぱり何でもかんでも引き受けるより、仕事はできるだけ選べるならば、選びたい。

ワガママかもしれないけれど、拘るということを大切にしていきたいし、自分や自分のブランドの価値みたいなものをもっと大切にしてあげたい。自分で自分を安売りしちゃだめだ。

 

最後に服は武器、人生そのもの、という文章を読んで、私が思うファッションと一致していたから、間違っていないし、信じていこうとおもった。自分を。あと、もっといろんなことをこれからも吸収したい。全然知らないことがたくさんある。吸収してそれを自分の形で変換し、表現するお仕事を続けていきたい。